
頭痛
当院には画像検査機器(CT・MRI)はありませんが、必要に応じて近隣の病院に検査を依頼しております。すでに他院で画像検査を実施されている方は、初診の際 にご持参をお願いいたします。
慢性頭痛の種類
片頭痛
頭の片側や両側がズキズキと脈打つように痛み、吐き気や光、音に敏感になるといった症状を伴う頭痛です。日常生活に大きな影響を与えることも少なくありません。
片頭痛は、脳の血管や神経の炎症、脳内の物質のバランスの乱れなどが関係していると考えられています。治療は、症状を和らげるだけでなく、頭痛の頻度を減らし、生活の質を向上させることを目指します。
緊張型頭痛
頭全体が締め付けられるように重く痛む、あるいは圧迫されるような痛みが特徴の頭痛です。首や肩のこりを伴うことが多く、日常生活でよく経験する頭痛のタイプです。
緊張型頭痛は、主に精神的なストレスや身体的なストレス(長時間同じ姿勢をとる、目の疲れ、睡眠不足など)が原因で、首や肩の筋肉が緊張し、血流が悪くなることで起こると考えられています。
薬剤使用過多による頭痛(MOH: Medication Overuse Headache)
片頭痛や緊張型頭痛などの急性期治療薬(市販の鎮痛薬やトリプタン製剤など)を飲みすぎることによって、かえって頭痛が頻繁に起こるようになる頭痛です。
その他の頭痛
持続性片側頭痛(Hemicrania Continua):
頭の片側に常に痛みが存在し、痛みの中に片頭痛のような強い痛みが混じることのある頭痛です。特定の薬が非常に効果的です。
群発頭痛
非常に激しい痛みが、目の奥や目の周りに集中して起こる頭痛です。「目のえぐられるような痛み」「きりで刺されるような痛み」と表現されることもあります。痛みと同じ側の目の充血、涙、鼻水、鼻づまり、まぶたの下垂、顔面の汗などの症状を伴うことが特徴です。
片頭痛
片頭痛は、頭の片側や両側がズキズキと脈打つように痛み、吐き気や光、音に敏感になるといった症状を伴う頭痛です。日常生活に大きな影響を与えることも少なくありません。
片頭痛は、脳の血管や神経の炎症、脳内の物質のバランスの乱れなどが関係していると考えられています。治療は、症状を和らげるだけでなく、頭痛の頻度を減らし、生活の質を向上させることを目指します。
片頭痛治療の2つの柱:予防薬と発作時薬
片頭痛の治療には、大きく分けて2種類の薬があります。
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予防薬(頭痛の頻度や程度を減らす薬)
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発作時薬(頭痛が起きたときに痛みを和らげる薬)
これらの薬を適切に使うことで、片頭痛のつらい症状をコントロールし、より快適な日常生活を送れるようになります。
予防薬について
予防薬の目的:頭痛が起こる頻度、頭痛の程度、頭痛の持続時間を減らすことを目指します。頭痛が起こりにくい体質を作ったり、起こっても軽く済むようにする薬です。
いつ使うか:
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毎日、継続して服用します。 頭痛がない日も飲み続けることで、効果が徐々に現れます。
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効果を実感するまでに数週間〜数ヶ月かかることがあります。すぐに効果が出なくても、自己判断で中止せず、医師の指示に従いましょう。
主な予防薬の種類
片頭痛の予防薬にはいくつか種類があり、患者さんの状態や体質に合わせて選びます。
1. βブロッカー(ベータブロッカー)
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例: プロプラノロールなど
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主な作用: 心臓の興奮を抑えたり、血管の過度な拡張を抑制したりすることで、片頭痛が起こるのを防ぎます。
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注意点: 喘息のある方や、脈が遅い方には使えないことがあります。低血圧や倦怠感を感じる方もいます。
2. トリプタノール(アミトリプチリン)
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例: アミトリプチリン
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主な作用: 脳内の神経伝達物質のバランスを整え、痛みの感じ方を調整することで頭痛を予防します。
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注意点: 眠気、口の渇き、便秘などの副作用が出ることがあります。
3. バルプロ酸
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例: デパケン、セレニカなど
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主な作用: 脳の神経細胞の過剰な興奮を抑えることで、頭痛の発生を抑制します。
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注意点: 眠気、吐き気、食欲不振などの副作用が出ることがあります。特に女性の場合、妊娠を希望される方や妊娠の可能性がある方は、必ず医師に伝えてください。
4. CGRP製剤(注射薬)
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通常の片頭痛予防薬(βブロッカー、抗うつ薬、抗てんかん薬など)を試しても十分な効果が得られなかった方
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通常の予防薬で副作用が出てしまい、継続が難しかった方
発作時薬について
発作時薬の目的:
頭痛が起きてしまった時に、その痛みや伴う症状(吐き気など)を和らげることを目指します。
いつ使うか:
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頭痛が始まったら、できるだけ早く服用します。 痛みが強くなってからでは、薬が効きにくいことがあります。
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飲みすぎると、かえって頭痛を悪化させる「薬剤使用過多による頭痛(MOH)」を引き起こす可能性があります。医師から指示された用量・回数を守りましょう。MOHのリスクは、月に10日以上発作時薬を内服することを3カ月持続することです。
主な発作時薬の種類
片頭痛の発作時薬には、様々な種類があります。
1. トリプタン製剤
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例: イミグラン、ゾーミッグ、マクサルト、レルパックス、アマージなど
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主な作用: 拡張した脳の血管を収縮させたり、炎症を引き起こす物質の放出を抑えたりすることで、片頭痛の痛みを取り除きます。
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注意点: 狭心症や心筋梗塞、脳梗塞など、血管に関する持病がある方には使えないことがあります。服用後、胸や喉に締め付けられるような感覚を覚えることがありますが、通常は一時的なものです。
2. レイボー(ラスミジタン)
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主な作用: 痛みの伝達を抑制する作用がありますが、トリプタン製剤のように血管を収縮させる作用がないため、血管の病気がある方でも使える場合があります。
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注意点: 眠気やめまいなどの副作用が出ることがあります。服用後、車の運転など危険を伴う作業は避けましょう。
3. NSAIDs(エヌセイズ:非ステロイド性消炎鎮痛薬)
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例: ロキソニン、イブプロフェン、ボルタレンなど
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主な作用: 炎症や痛みの原因となる物質の生成を抑えることで、痛みを和らげます。
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注意点: 胃腸障害(胃が荒れる、吐き気など)や腎臓への影響が出ることがあります。
4. アセトアミノフェン
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例: カロナール、タイレノールなど
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主な作用: 脳の中枢に作用して、痛みの感じ方を和らげます。
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注意点: 過剰に摂取すると肝臓に負担がかかることがあります。
薬物治療と非薬物療法
薬による治療だけでなく、生活習慣の見直しも片頭痛の改善には非常に重要です。
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規則正しい睡眠: 寝すぎや寝不足は頭痛の誘因になることがあります。
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ストレス管理: 適度なリラックスやストレス解消法を見つけましょう。
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規則的な食事: 食事を抜くと頭痛が起こりやすくなることがあります。
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適度な運動: ウォーキングなどの有酸素運動は、片頭痛の予防に効果的です。
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誘発因子の特定と回避: ご自身の頭痛を引き起こす可能性があるもの(特定の食べ物、匂い、気圧の変化など)を記録し、可能な範囲で避けるようにしましょう。